世界史上最も複雑な時代を生きることによって引き起こされる、個人的なつらい試練や難しい決断、苦難のさなかにあっても、わたしたちは救い主の最も偉大な力の現れを通して平安を経験することができます。
必要に応じて翻訳を修正します。何かご提案があれば、speeches.jpn@byu.eduにご連絡ください。
おはようございます!皆さんとともに集えることをうれしく思います。今朝は、この話を準備をした経緯を分かち合ってから、わたしのテーマを紹介しようと思います、というのもその経緯が少し興味深いと思ったからです。わたしはもともと、2023年の冬学期のディボーショナルで話すよう依頼されました。しかし、割り当てられた日の直前に電話があり、ジェフリー・R・ホランド長老がわたしの代わりを務めると告げられました。もちろん、わたしは いつでも喜んでホランド長老に譲りますが、このディボーショナルは特に特別な時間になることが分かりました。。ホランド長老は、ケビン・J・ワーゼンがBYUの学長としての任期を終え、新しく、C・シェーン・リースになると発表したからです。
ここ数年、コロナパンデミックやその他の困難の中で、2人の学長や学長評議会の多くのすばらしいメンバーと、一緒に仕事をする機会に恵まれてきました。わたしたちの出身やキャンパスの優先事項に関する背景や見識は様々ですが、この大学の神聖な使命を果たし、「BYUになる」ために素晴らしいキャンパスコミュニティーと協力しているときに、全体としても個人としても、学生の皆さんに全神経を注いでいることに、わたしは大きな刺激を受けました。 会長評議会として、わたしたちは毎週、ひざまずいて皆さんのために祈っています。皆さんを愛してます。そして、皆さんがBYUやその先で成功を経験できるようサポートしたいと思っています。
日程の変更を受けた後、何人かの人から、去年の冬に準備した話をするかどうかと尋ねられました。わたしもどうしようかと考えていました。その話は個人的な啓示を通して準備されたと信じていますが、新しい話を準備することにしました。なぜなら、当初予定していた日付からわずか数週間後の4月の総大会で、非常に似ているテーマがヘンリー・B・アイリング管長によって見事に取り上げられていたからです。
しかし、この数週間、再び祈りと振り返りに時間を費やした結果、以前に選んだテーマが、今の時代により関連性があるかもしれないというはっきりとした印象を受けました。そこで、少し変更を加えて、1年近く前に準備したメッセージをお伝えします。
当時、わたしはイエス・キリストの贖罪について話そうと思うきっかけとなった神聖な経験をしました。その神聖な経験から間もなく、妻とわたしは、思い付きでオレゴン州の海岸へ旅行に出かけました。数日間にわたって、わたしたちは美しい場所を訪れ、幾つかの素晴らしいハイキングに出かけました。
あるハイキングコースは、特に思い出深いものでした。わたしたちは、静かで穏やかで、なおかつカタルシス的に美しい道にいることに気づきました。、〔道の写真が提示される〕この小道の頂上にある展望台まで歩いて行くと、言葉では言い表せないほどの景色が広がっていました。〔小道からの海の美しい眺めの短いビデオが上映された。〕この見晴らし台で、わたしは妻の方を向いて、この道で経験している束の間の平安な気持ち をどうにかして記憶にとめ、保つことができたらどんなに素晴らしいだろうと言ったことを思い出します。
この旅の後の数日間、わたしはこの二つの経験について思い巡らし、相互に関連する二つの疑問を抱きました。
1.どうすれば生活の中で平安を得る頻度と深さを増し加えることができるでしょうか。
2.わたしたちの生活において、救い主の贖罪はどのような役割があるでしょうか。
これらの質問に対する答えを祈りを込めて考えるうちに、わたしのメッセージのテーマが明確になってきました。
ブルース・R・マッコンキーがかつて「被造物の歴史全体の中で起こった最も重要な出来事」6 と表現した救い主の贖罪について、わたしのメッセージが皆さんに何らかの影響を与えますように、または新しいことを感じるように願っています。3
贖いの力
救いの計画の中心要素であるキリストの筆舌に尽くしがたい犠牲は、わたしたちが死と罪を克服し、主と愛にあふれる天の両親のもとに戻って、共に住むことを可能にしてくれます。これが、贖罪の教義の中心です。しかし、贖罪の力はそれをはるかに超えて、わたしたちの生活のあらゆる面に良い影響を及ぼすことができます。後に七十人の会員となったタッド・R・カリスターは、かつて次のように説明しています。
「この教義を追求するには、全人格が求められます。なぜなら、イエス・キリストの贖罪は、この世や宇宙が知り得る最も超絶的で、心を膨らませる情熱的な教義だからです。」4
「この宇宙がこれまで知ることのない最も超越的で、心を膨らませる、情熱的な教義」を追求するのに、これほど重要な時期は考えられません。なぜでしょうか。なぜなら、ラッセル・M・ネルソン大管長が最近述べたように、「わたしたちは現在、世界の歴史の中で間違いなく最も複雑な時代に生きてい〔る〕」からです。
しかし、おなじみの楽観的な口調で、ネルソン大管長は、この心強い平和の約束とともに、驚嘆すべき美しい未来が待ち受けているとも述べました。
「愛する兄弟姉妹の皆さん、これから実に多くのすばらしいことが起こります。近いうちにわたしたちは、これまで世界が見たこともないような、救い主の最も偉大な力の現れを目にすることでしょう…
…真理の歪曲や妨害が渦巻く中でも,たとえ最も厄介な問題の中にあっても、皆さんには真の休み,すなわち安らぎと平安が与えられるのです。」6
それについて考えてみてください。「世界の歴史上最も複雑な時代」を生きることによって引き起こされる、個人的な辛い試練や困難な決断、苦難のさなかにあっても、わたしたちは「 かつて見た中で最も 偉大な 救い主の力の現れ」を通して平安 を感じることができます 。
よく引用されるヨハネ書の聖句には、この平安が救い主イエス・キリストからの最高の祝福であることが分かります。
「わたしは平安をあなたがたに残して行く。わたしの平安をあなたがたに与える。わたしが与えるのは、世が与えるようなものとは異なる。あなたがたは心を騒がせるな、またおじけるな。」
兄弟姉妹の皆さん、わたしたちはこの複雑な世の中を生きていく中で、永続する個人の平安への道はイエス・キリストの贖いを通して通じることを証します。
平和
ジョセフ・B・ワースリン長老は、「人知ではとうてい測り知ることのできない神の平安」8 を、「御霊から生まれる心の静けさと慰めであり、それは神がすべての子供たちに賜った賜物であり、人の心の中にある確信と安らぎ」であると述べています。9
マービン・J・アシュトン長老は、平安について次のように述べています。
「イエスが墓から出て弟子たちに姿を現されたとき、最初に言われた言葉で「安かれ」と言われたことは、非常に重要です。(ルカ24:36)情熱でも、所有物でも、業績や幸福でもなく、平安は人が受けることのできる最も大いなる祝福の一つです。」10
わたしたちは皆、幸福と喜びを追い求めるべきですが、平安はキリストの贖いの犠牲を通してのみ得られる最高の賞であるように思います。犠牲をささげるためにゲツセマネの園に入られる直前に、主はこのように言われました。
「これらのことをあなたがたに話したのは、わたしにあって平安を得るためである。あなたがたは、この世ではなやみがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている。」
キリストが贖いの犠牲を始められる直前と、復活された直後に平安について語られたのは興味深いことではないでしょうか。
苦難のない人生、時には大きな試練を経験しない人はいないでしょう。しかし、キリストは「世に打ち勝つ」ことによって、個人的な苦悩や試練のさなかにあっても「元気を出す」ことができるようにしてくださいます。
このことを心に留めて、皆さん一人一人に次の質問について考えるようお願いします。個人的な状況の浮き沈みに関係なく、生活の中でこの平安、すなわち人知ではとうてい計り知れない心の静けさを、あなたはどれくらい頻繁に感じていますか。
データを集めることに興味があったわたしは、数週間前に、今日ここに集っている多くの会員を含む650人以上の地元のヤングシングルアダルトの会員に非公式のアンケートを実施しました。調査の結果は興味深いものでした。
a. 毎日 (149)
b. 少なくとも週に1回 (366)
c. 月に数回 (116)
d. めったにない (40)
e. なし (14)
多くの人が生活の中で平安を感じていることを嬉しく思います。中には毎日感じている人もいます。しかし、多くの人にとって、個人の平安を見つけにくいものであることも明らかです。そして残念なことに、この平安をめったに、あるいはまったく感じないと答えた人も少数いました。現在この質問にどう答えるかにかかわらず、この平安を常に 感じていたなら 、あなたの人生はどれほど劇的に変わるかを考えてみてください。
人を変える贖罪の力がもたらす5つの祝福
兄弟姉妹の皆さん、救い主の贖罪は人生を変えます。皆さんの人生を変えることができるのです。無限の力を持つ贖罪が起こり得る方法は数え切れないほどあります。今日ここで全て紹介するには、あまりにも多くて紹介出来ません。。しかし、救い主の贖罪から、わたしたちを永続する個人の平安への道へと導き、変化をもたらす5つの原則、恐らく祝福というべき事柄に焦点を当てたいと思います。そうする中で、妻とわたしが結婚生活において下した最大の決断の一つに関する個人的な経験を分かち合い、これら5つの祝福の秘めた影響を説明できるように努めたいと思います。しかし、これらの祝福は、いかなる重大な決断や試練、状況にも当てはまるものです。ですから、これらの原則を自分自身の生活に当てはめて考えてみてください。この活用の目的は、個人的な関連性と啓示であり、御霊の啓発する力がこの神聖な過程に役立つように祈っています。
伝道後、ブリガム・ヤング大学にいたとき、妻のブルックと真剣にデートし始めました。ある晩、結婚の可能性について話し合っていたとき、彼女が思いがけない質問をしてきました。
彼女はこのようなことを言いました。「わたしたちに子供ができた後に、いつか養子を迎えても構わない?」
これは確かに大きな質問でしたが、このとき、わたしはブルックに夢中になっていて、彼女がほとんど何でもわたしに尋ねるたらわたしは「もちろん、素晴らしいと思う!」と言ったでしょう。
そして、わたしはまさにそのように彼女の質問に答えました。
それから12年が経ち、4人の子供が生まれた後、彼女が真剣だったことが分かりました。その時、彼女はわたしが長い間忘れていた質問を再び話し合いに持ち出しました。すると、今度はわたしの反応がまったく違っていました。わたしは、すぐに養子縁組が重要でない理由を考えていました思い浮かんだ全ての理由を挙げませんが、おもな理由の一つがこの写真に表れています。〔ハーフェン家の6人の写真が提示された。〕
この時点で、わたしたちはすでに4人の素晴らしい子どもたちがいる6人家族でした。その後の数週間、話し合いは続き、わたしは養子縁組を進めるべきではない様々な理由を探し、ブルックに伝えていることにに気づきました。
わたしたちは皆、振り返り、洞察力、先見の明を持っています。振り返ってみると、当時のわたしの洞察力と先見性が著しく欠けていたことに気づきます。ありがたいことに、ブルックの強い印象はわたしの弱さを補ってくれました。そして彼女は、養子縁組に対するわたし自身の答えを見つけるよう、何度も促し続けました。そこで数週間かけて調べ、自分の思いを書き留め、祈りました。時間が経つにつれ、わたしは明確な答えを見つけられないことにいらだちを感じるようになりました。さらに会話を交わした後、ブルックとわたしは、この特別な目的のために断食して神殿に参入することにしました。
これはわたしを、イエス・キリストの贖いの変革する力に由来する最初の祝福へと導き、わたしたちを永続する個人的な平和の道へと導きます。
救い主の贖罪はわたしたちを清めることができる。贖罪 は、わたしたちの不純な思いと行いを清めます 。わたしたちは皆、人生において過ちを犯しやすい傾向に陥る時があります。意識的な作為によるものであれ、意図しない過ちによるものであれ、救い主の贖いの犠牲は、わたしたちを清い状態に回復してくれます。
モーサヤ書から、ベニヤミン王はこのように教えました。 「生まれながらの人は神の敵であり、聖なる御霊の勧めに従い、主なるキリストの贖罪により、生まれながらの人を捨てて聖徒と〔なら〕ないかぎり、とこしえにいつまでも神の敵となるであろう。」
小さな欠点も大きな欠点も悔い改めるとき、わたしたちは聖められ、聖徒となり、より 清くなります。 ネルソン大管長は次のように教えています。「日々の悔い改めは清さへの道であり、清さは力をもたらします。」13
ブルックとわたしが答えを求めて神殿に行く準備をしていた時、ひざまずいて祈ったことを思い出します。しかし今回は、ただ天の御父に答えを授けてくださるように祝福してくださるよう願うのではなく、自分の弱さをじっくりと認めることに多くの祈りを捧げました。個人の啓示を妨げるような大きな過ちを犯したとは思ってはいませんでしたが、今度はもっと謙遜になり、完全に赦しを求めたいという望みが湧いたことを覚えています。
神殿での経験は、いつもそうであるように心を高めるものでしたが、求めていた明確な答えがないまま出発の準備をしていた時、少しがっかりしました。わたしは更衣室を出てロビーに行き、ブルックのために待っていました。数分待つと、10年近く会っていなかったBYUの既婚学生ワードで知り合った夫婦がロビーに入って来ました。
挨拶を交わした後、わたしは彼らに彼らの生活の中で何が新しくなったのかを尋ねました。驚いたことに、4人の子供をもうけた後、最近養子に迎えたと言いました。
ご想像のとおり、これはわたしにとってわくわくするニュースでした。わたしは彼らに養子縁組の経験についていくつかの細かい質問をしました。彼らがすでに養子縁組を家族にとって大きな祝福と見なしていることは明らかでした。彼らが帰った後、わたしは再び腰を下ろし、彼らが話してくれたことについて考えていました。
そしてそれは起こりました!決して忘れることのない紛れもなく強い霊的な気持ちが溢れました。涙がこみ上げてくると、次の言葉が心に浮かんでくるのを感じました。「これがあなたの答えです。養子縁組を進めよう」
わたしはこれまでの人生で、これほど劇的な経験をしたことはあまりありませんが、啓示を通して疑問の答えが与えられたり、決断が明確になったことは何度もあります。わたしはこの経験に心から感謝しています。そして、このような経験ができたのは、イエス・キリストの贖罪の清めの 力のおかげで あることを証します。
悔い改める時、救い主の贖罪 によって清められ 、主の御心にさらに沿うことができるようになります。それは啓示の門を開く鍵です。この啓示は、わたしたちの人生のあらゆる局面において、人生を変える様な前向きな助けを与えてくれます。
救い主の贖罪は人に能力を授ける。贖罪は、一見無力に思える困難や出来事を克服し、決断を下すことを可能にします。この可能にする偉大な力の現われは、死と罪を克服するよう助けると同時に、、贖罪の継続的で親密な力は、現世において、日々の進歩を支えてくれます。
デビッド・A・ベドナー長老は、贖罪が持つ人に能力を授ける力について、わたしたち皆がよりよく理解できるように助けてくれました。彼はこう言いました。
「多くの教会員は、贖罪の救いと清めの力の性質ほど、人を強め、能力を与える贖罪の力になじみがありません。イエス・キリストがわたしたちのために死ぬために地上に来られたことを知ることは一つのことです。しかしわたしたちは、主がわたしたちを導くことと、力を与えてくださること、を望んでおられることに感謝する必要があります。」14
前進する確信を互いに得たことで、ブルックとわたしは養子縁組の決断において完全に一致することができました。養子縁組を進める過程で、さまざまな紆余曲折をカバーする時間はありませんが、複数の養子縁組機関、いくつかの国、苛立たしい官僚主義、身元調査の遅延、およびその他の課題が含まれていました。当時は気づきませんでしたが、後から考えると、これらの障害のいくつかが、実際にわたしたちを娘に導く直接的な役割を果たしていたことに気づきました。結局のところ、養子縁組の進行を妨げているように見えたまさにその障害が、娘を見つけるのに役立っていたのです。ただ忠実であり続け、主に導いていただくだけでした。
従来とは異なる養子縁組の流れを通じて、中国から養子縁組することに決めた時、見込みのある養子縁組者をリストアップしたウェブサイトへのアクセスを受け取りました。これらの各ファイルには、当時の中国の一人っ子政策やその他の要因により、出生時または出生間近に放棄された子供に関する基本的な医療情報と背景が含まれていました。ファイルには、それぞれの子供の小さな写真も含まれていました。
ブルックはこれらのファイルを 1 つずつ調べ始めました。ご想像のとおり、これは多くの複雑な感情をもたらす作業でした。。しかし、早い段階で、ブルックはこの写真を見て、彼女の複雑な感情はすぐに、つながりと愛の計り知れない強烈な感情と愛に取って代わられました! 〔赤ちゃんの写真が提示される〕
ブルックは聖霊を通して、この少女こそがその子だという導きを受けたのです。そして彼女は、わたしに写真とファイルを送ってくれました。わたしも彼女と同様の経験をしました。わたしたちは、わたしたちの娘を見つけたのです。
彼女を見つけることにおいて、わたしたちの救い主の贖いによる可能性をもたらす力を通じて、指示を受け、強められることは、、何と祝福されていることでしょう。
七十人のケビン・W・ピアソン長老は次のように説明しています。「人を強め、 人に能力を授 ける贖罪の力がなければ、道にとどまり堪え忍ぶことは不可能です。」15
「人に能力を授ける力」とは、神の助けのことです。人生が思うようにいかない状況に陥るとき(実際にそうなることがよくあるのですが)、この神の助けはわたしたちが正しい方向転換をする助けとなり、信仰をもって永続する個人の平安への道を進み続ける助けとなります。
救い主の贖罪は確信を与える
贖罪 は、迷う時も、わたしたちに確信を与えてくれます 。救いの計画の基本は、死すべき生涯における試しの状態を経験し、選択の自由という賜物を行使することです。この計画の中で、死すべき状態であるわたしたちは皆、イエス・キリストを信じる信仰を強める機会を与えてくれる試練に絶えず直面しています。実際、わたしたちのほとんどは、毎日何らかの確信のない状態を経験しています。ありがたいことに、愛にあふれる天の御父は、わたしたちが、確信のない状態をを絶えず克服できるよう方法を備えてくださいました。イザヤ章では、「正義は平和を生じ、正義の結ぶ実はとこしえの平安と信頼である。」と教えられています。
ネルソン大管長は、この大いなる祝福を強調しています。
「わたしたちは聖餐を受ける度に、再度救い主の御名を受けることを約束し、救い主を覚え、救い主の戒めを守ることを再び約束します。その代わりに、神は、わたしたちがいつも主の御霊を確実に受けられるようにしてくださるのです。」
ブルックがわたしたちの娘(今はタヤと名付けている)を最初に見つけてから、中国南部に迎えに行くまでに約7か月かかりました。この間、わたしたちは興奮と高揚感に満ちた日々を過ごしましたが、不安といらだちに満ちた日々もありました。わたしたち二人が確信を得た後でも、先の見えない部分もたくさんありました。また、ありがたいことに、 正しい決断をしたという確信 も受けました。そして、タヤに初めて会った日は、わたしたちが必要とするすべての確信をもたらしてくれました。〔タヤとの出会いの写真が上映されました。〕
わたしは、養子縁組の経験を通して、ブログを書き続けました。タヤに初めて会った日に書いたことを、以下に紹介します。
「さて、わたしたちが長い間待ち望んでいた日がついに来ました! こんなに緊張したのは久しぶりでした。ホテルからバスで30分ほど行くと、現地の民生関係者がわたしたちの新しい家族を連れて出迎えてくれました。今朝早く、わたしたちのガイドは、養子縁組されるすべての子供たちにとって、非常に厳しい日になると説明していました。実際にそうでした。彼らは、同時に5人の子供を連れて来ましたが、すべての子供が初めての経験だったので、ほとんどが泣いていました。ほとんどの大人も泣いていましたが、その理由は彼らとは別でした。タヤが生後12ヶ月頃(6、7ヶ月以上前)の写真しか見ていませんでした。しかし、職員が彼女を部屋に連れて来たとき、ブルックとわたしはタヤを見てからお互いを見つめ、言葉を交わす必要はありませんでした。わたしたちは彼女がわたしたちのものであることを知っていました。そしてああ、彼女は美しかったです! それはわたしたちがいつまでも忘れることのできない瞬間です。」
その日の夕方、わたしは以下のものを書いてその日の日記を完成させました。
「わたしがこの素晴らしい一日を振り返ると、過去数年間の道のりを振り返り、今に至るまでの過程を考えています。…確かに、わたしは疑問や恐れを心に抱いてきました。…でも、もしタヤを見て感じる今この時の感情が正しければ、彼女はわたしたち家族にとって大きな祝福となるでしょう。何という冒険でしょう!」
そして、それは何という冒険だったことでしょう!この過程において救い主の贖罪の力を通して確信を得られたことに、わたしたちはどれほど感謝していることでしょう。
不確かで困難な時代にあって、贖罪の力が確かなものとなり、わたしたちは永続する個人の平安への道にとどまることができるのです。
救い主の贖罪は慰めを与える贖罪は、特に困難なときに慰めを与えてくれます。わたしは皆さんの多くを個人的に知っているわけではありませんが、今日ここにいる皆さんの多くが、生活の中である程度の不快感を感じている可能性が高いと自信を持って言えます。七十人のリカルド・P・ヒメネス長老は、次のように述べています:
「人生の嵐に直面するとき、最善を尽くし、イエス・キリストとその贖罪を避け所として頼るなら、わたしたちは安らぎ、 慰め、 強さ、節制、と平安の祝福を得るでしょう。」18
最後の晩餐で、救い主は使徒たちに平安を約束した時、このようにも言われました。
「もしあなたがたがわたしを愛するならば、わたしのいましめを守るべきである。
わたしは父にお願いしよう。そうすれば、父は別に助け主を送って、いつまでもあなたがたと共におらせて下さるであろう。…
わたしはあなたがたを捨てて孤児とはしない。わたしはあなたがたのところに行きます。」19
さて、話を戻しましょう。初期の段階では、タヤと何度も不快な時間を過ごしました。何が起こっているのかを理解しようとしていた時、彼女はとても苦労していました。。彼女は少し迷っているようで、かなり憂鬱そうでした。彼女はほとんどブルックにしがみついていた。そして、これらの写真は、彼女が最初の頃のわたしについてどのように感じていたかを非常に明確に示しています。ありがたいことに、それは数週間しか続きませんでした。〔タヤの写真が幾つか紹介された〕
新しい言語、新しい国、新しい文化、新しい家族、新しい食べ物、その他多くのことなど、タヤの生活はかつてないほど劇的に変わりました。数日が数週間になり、数週間が数か月になると、タヤは新しい環境に順応し始めました。それでも、彼女にもわたしたちにも、不安なことや眠れない夜が続きました。
ありがたいことに、この期間を通して、御霊の慰めを感じる経験が続きました。タヤを連れて家に帰ったとき、心が温まる瞬間がありました。中国で数日過ごし、長い旅路で帰国したわたしたちは、ほかの4人の子供たちに初めて会うとき、タヤの反応が良くないのではないかと心配していました。しかし、家に入ったときに感じた慰め は想像できるでしょう。これは、わたしたちのほかの子供たちを見たときの彼女の反応でした。[タヤと他のハーフェンの子供たちの写真が上映された。]お互いに喜びがあり、新しい兄弟たちとすぐにきずなも深まりました。
タヤと過ごした最初の数年間を振り返ってみると、居心地の悪い時がありました。しかし、ありがたいことに、すべては上手くいくと慰める温かい慈悲はおよばないくらい、祝福されました。そして、それはまた、他の家族が人生において大なり小なり不快感な時期が長くあった時でもありました。
元中央扶助協会会長会の一員であるリンダ・S・リーブス姉妹は、次のように教えています。
「イエス・キリストにとって起こること何一つショックでも驚きでもありません。イエスキリストは全知全能であり、すべての人を愛しておられます。わたしたちが贖罪の力に頼っているとき、彼はわたしたちを助け、慰め 、痛みを和らげることを熱心に望んでおられます。」
救い主の贖罪を通して、わたしたちは救い主が慰めのない状態でわたしたちを見捨てられることは決してないという約束を経験することが出来るでしょう。何とすばらしい祝福でしょう!
救い主の贖罪は昇栄する
贖罪の持つ昇栄の力 は、わたしたちの現世の旅の卓越した目的を果たします。昇栄こそが、キリストの贖罪の理由です。そしてそれは、天の御父がわたしたち一人一人に対して抱いておられる究極の願いです。2006年10月の総大会で、リチャード・G・スコット長老は贖罪に関するすばらしい話を次の証で締めくくりました。
「計り知れないほど大きな代価を支払うために,救い主が想像を絶する苦痛と苦(く)悶(もん)によって,わたしたちの贖い主,仲保者,裁き主になられたことを証します。…主の律法という確かなアンカーが、試練を乗り越えようとする皆さんに、安全と成功を保証してくれます。…皆さんは日の栄えの王国において 昇栄の冠を受け,平安で幸福に満ちた生活を送ることができるのです。」
これまで、贖罪が持つ変化をもたらす力が、わたしたちを永続する個人的な平安への道に導くという祝福を見てきました。それは現世に焦点を当てたものでした。人類の歴史における最も偉大な出来事の最高の祝福である贖罪の昇栄の力 は、 死すべき状態から永遠の栄光の最高の状態への架け橋となります。この理解し難い祝福は、この世で経験することではありませんが、愛にあふれる天の御父は、わたしたちが(リーハイの夢22を参照)この実を味わうことを許してくださっていると信じています。そのような経験は、昇栄を得たいという望みを強めるだけでなく、現世で永続する平安をさらに実現する助けにもなります。
わたしはこれほど大切な瞬間は、ほとんどありませんでした。しかし、2008年11月15日の朝、家族とともにユタ州マウントティンパノゴス神殿の聖壇の周りにひざまずいたときに、そのような瞬間が訪れました。その日は、タヤがわたしたち家族と永遠に結び固められた日です! [白い服を着たハーフェン家族の写真が提示された。]
さて、この永遠の目標を達成するために、特にこの家族の父親として、やるべきことが確かにたくさんありますが、たとえどんなに小さくても、昇栄がどのようなものかを垣間見せてくれたこの経験に、わたしはいつも感謝しています。家族や愛する人々との永遠の命がどれほどすばらしいものか、わたしには想像することしかできません。
永続する平安に至る個人的な道を確実にする: 促しと招待
要約すると、救い主の贖罪は
清めます(Purifies)
能力を授けます(Enables)
保証します(Assures)
慰めを与えます(Comforts)
昇栄します(Exalts)
頭字語でいっぱいの世界で、わたしの願いは、あなたがこれを覚えることです。この5つの言葉が都合よく平安(peace)という言葉を綴っているからではなく、これらの5つの祝福が、あなたが平安を継続的に経験する助けとなるからです。
これらの祝福と、イエス・キリストを通してもたらされる数え切れないほどの祝福に心から感謝しています。救い主の贖罪は、永続する個人の平安への道なのです。
少しの促しと一つの招待で締めくくります。
まずは促し。わたしたちは皆、文字通り天の御父の息子と娘です。この第一の神聖なわたしたちが何者であるかということは、イエス・キリストの贖罪を生活に受け入れることを可能にします。しかし、その神聖な主に近づく方法は、偶然ではなく、行動によってもたらされます。
このことを心に留めながら、日々の行いが、永続する個人の平安を経験したいという望みと一致するために、どのようにすればよいでしょうか。この質問に対する答えは、個人的な熟考や状況によって異なるかもしれませんが、おそらく、それがまさしく重要なことです。
その答えは、わたしの一つの招きに集約されていると思います。「すべての聖約を守ると完全に決意してください。」
わたしたちはつい先週、すべての聖約を交わして守ることの大切さについて、デール・G・レンランド長老からすばらしい教えを受けました。23 実際に、聖約の決意は、数十年にわたって現代の預言者によって強調されてきました。現在の預言者であるラッセル・M・ネルソン大管長が、神聖な聖約にさらに焦点を当てるのを助けてくれていることに心から感謝しています。彼が預言者として優先している事柄の一つである、聖約を交わすという多くのお話の中から、引用しましょう。
「神殿で指示、または御霊を通して教えられるすべてのことは、イエス・キリストに対する理解を深めてくれます。主の必須の儀式は、神聖な神権の聖約を通して、わたしたちを主に固く結びつけてくれます。そして、わたしたちが聖約を守るならば、主はわたしたちを癒し、強めてくださいます。 ああ、これから先、わたしたちはなんと主の力が必要なことでしょう。」
今日ここにいるわたしたちのほとんどは、天の御父と神聖な聖約を交わしています。しかし、わたしたちが聖約を交わすときに開く扉は、もしわたしたちが聖約を守ることを疎んじるなら、その扉は閉まり始めます。わたしたちは、受け身で聖約を交わす者なのか、それとも積極的に聖約を守る者なのかを自問するべきでしょう。わたしたちがキリストの贖罪に頼ってすべての聖約、すなわち聖なる愛に根ざした正義と憐れみの美しいバランスを完全に守らない限り、天の御父はわたしたちに完全な平安の祝福を授けることはできません。永続する平和への道に、進みたいのであれば、今、毎日、すべての聖約を完全に守る ことを決意してください。覚えておいてください。聖約は、イエス・キリストと直接、神聖なつながりを与えてくださることを忘れないでください。そして、その天からの授かりものを、わたしたちは努力し続けるのです。。
兄弟姉妹の皆さん、預言者の勧告に従い、聖約をすべて守ろうと完全に決意するとき、わたしたちは、清める、能力を授ける、保証する、慰める、昇栄させる力が、人生を変える力を解き放すことを証します。愛に満ちた天の御父と御子、救い主イエス・キリストは、わたしたちが昇栄した永遠の平安の中で再び御二方とともに住む備えをするために、この世で永続する個人的な平安を感じてほしいと望んでおられることを証します。わたしの祈りは、わたしたちがさらに救い主イエス・キリストに立ち返り、永続する個人的な平安への道を進めますように、イエス・キリストの御名によって、アーメン。
© Brigham Young University. All Right Reserved.
脚注
1.C・シェーン・リース、 “Becoming BYU: An Inaugural Response」、 2023年9月19日にブリガム・ヤング大学学長に就任時に行われた演説。
2.ヘンリー・B・アイリング、 ‘個人の平安を見いだす'” リアホナ 5月2023年
3.ブルースR.マッコンキー、 MD、 s.v.‘キリストの贖罪’ 60
4. Tad R. Callister, The Infinite Atonement (Salt Lake City: Deseret Book, 2000), 2.
5.ラッセル・M・ネルソン、 「世に打ち勝ちなさい。そうすれば,休みが与えられるであろう」リアホナ、2022年11月
6.ネルソン 「世に打ち勝つ」;強調は原文のまま。
7.ヨハネ14:27。
8.ピリピ4:7。
9.Joseph B. Wirthlin, “Peace Within,” Ensign, May 1991.
10.Marvin J. Ashton, “Peace—a Triumph of Principles,” Ensign, November 1985.
11.ヨハネ16:33。
12.モーサヤ3:19。
13.ラッセル・M・ネルソン、 「行いを改善し、より良くなれます」エンザイン2019年5月
14.デビッド・A・ベドナー “メッセージ: Strength Beyond Our Own,” New Era, March 2015; emphasis added.
15.ケビン・W・ピアソン、 「命の木のそばにとどまる」 エンザイン、 2015年5月;強調付加
16.イザヤ32:17 ; 強調付加
17.ラッセル・M・ネルソン ‘霊的推進力'” リアホナ 2022年5月;原文協調;強調付加 モロナイ4:3, 5:2, 教義と聖約20:77、79参照
18.リカルド・P・ヒメネス、 「人生の嵐の避け所を見つける」エンザイン、 2020年5月; 強調付加
19.ヨハネ14:15-16、 18。
20.リンダ・S・リーブズ、 「聖約の祝福を受けましょう」エンザイン、 2013年11月; 強調付加
21.リチャード・G・スコット、 「贖(あがな)いは、平安と幸福を確固としたものとする」リアホナ、 2006年11月; 強調付加
22.1ニーファイ8を参照
23.See Dale G. Renlund, “Stronger and Closer Connection to God Through Multiple Covenants,” BYU devotional address, 5 March 2024.
24.ラッセル・M・ネルソン、 「神殿とあなたの霊的な基」 「リアホナ」、 2021年11月;原文強調 教義と聖約109:22, 22を参照
2024年3月12日、BYU管理担当副学長のスティーブン・J・ヘーフェンが、このディボーショナルで話をしました。